筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)で辛い日々…でも社会復帰したい!

20年以上にわたり筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と闘いながら考えたことを整理しています。時折ひとりごと…

日本は生きづらい

アメリミシガン州にて)

以下のニュースをご存知でしょうか。

 

(CNNより) 米ニューヨーク州に住むノア・ルイズ君(4)は、アイスキャンディーとアニメキャラクターの「スポンジ・ボブ」が大好き。アマゾンのサイトで「スポンジ・ボブのアイス」を見つけ、母のアカウントから早速注文してしまった。

母ジェニファ・ブライアントさんは時々、ノア君のリモート学習に自分のパソコンを使わせていた。その日はジェニファさんが別室にいる時、ノア君がアマゾン・プライムのアカウントに入り込み、注文手続きをしたようだ。

今考えると、ノア君はその後「51」という数字を一日中繰り返していた。ノア君はASD(自閉症スペクトラム症)の診断を受けていて、普段から同じ言葉を繰り返すことが多く、ジェニファさんはあまり気にかけていなかったという。

ところがまもなく、アマゾンのアカウントを共有している近所の姉妹宅に「要冷凍」の大きな箱が3つも届いた。

中に入っていたのはスポンジ・ボブのアイスキャンディー51ケース、計918本で、代金は2619ドル(約28万5000円)。外部業者が扱う商品のため返品はできない。クレジットカード会社からの返金も難しそうだ。

ジェニファさんはニューヨーク大学ソーシャルワークを学びながら3人の息子を育ててきたが、これでは今学期の学費が払えない。見かねた大学の友人が、アイス代の助けになればと、資金調達サイト「ゴーファンドミー」で寄付を呼び掛けた。

アイスは2日ですっかり溶けてしまったが、募金は24時間以内に代金の総額を突破。当初の目標をはるかに超えて、今も増え続けている。

ジェニファさんは、残った寄付金をノア君の療育に役立てる予定。自閉症がある子ども専門の教育を受けさせてあげたいと話している。

(以上CNNより転載)

 

このニュースが日本語サイトに載る直前、私はたまたまアメリカ人の友人たちとこのニュースについて話していました。彼らの感想は総じて「アマゾンへの怒り」。返金要請に応じないことへの怒りでした。コロナ状況下でも莫大な利益を上げているアマゾンは30万円程度の支払いなど痛くも痒くもないはずなのだから返金すべき、と。なんならCEOジェフ・ベゾスがポケットマネーででも払うべき、と。

 

それを聞いて「へー」と思いました。良し悪しではなく、アメリカも私のイメージより随分「左傾化」が進んでいるのかしら、と。成功者が莫大な富を手にするのが良しとされれるカルチャーがあると思い込んでいたので、彼らの反応に多少意外な気がしたのです。彼らはアメリカの中で貧しい階層の人たちではありません。「超絶リッチ」ではないけれど、おそらく「まあ裕福」な人たち。そういう人たちの中でも、「もっと平等になるべき」「貧しい人はもっと援助をもらうべき」「大企業や政府は富の再分配に力を入れるべき」との考えが強いんだなと認識しました。同時に、民主党のバーニーサンダース氏が今でも一定数の支持を得ていることも納得しました。

 

一方、このニュースが和訳されて日本で伝わった後の反応に、私は日本での生きづらさを感じたのです。ネットのコメントは全ての人の人の意見ではないことは承知していますが、それでも大半が「アマゾンは正しい」「子供がパソコンを使うにあたり注意して当然を放任している親が無責任である」「学費が払えなくなり寄付を募るなんて間違っている」「ましてや寄付が予定額に達しているのにストップせず我が子の教育に使うなんて間違っている」などなど、彼ら親子(基本的には親)を非難するコメントがほとんどなのです。

私自身も、「アマゾンとしてもここで返金を認めたら、認めるケースと認めないケースの境界が難しくなるだろう」と思い、返金しなかったアマゾンを批判するのは酷だと思います。アメリカではネット購入の3割が返品され、日本より返品が当たり前となっています。日本の「もったいない」精神もみなさんそんなに持っておらず、「大量消費・大量廃棄」に馴染んでいます。そういった文化差も前提にはあります。それでも、子供がパソコンを使うにあたり四六時中見ていないと批判されるなんて、日本での子育てはどんなに大変なことでしょうか。友人が寄付を募い、賛同した人たちが少額ずつ寄付をしたことを「間違っている」などといえる権利は他人にありますか?寄付の文化はアメリカと日本で全く違います。いい意味で、もっと気軽に根付いています。困った状況を見かねて寄付を募った友人も私は「いいね!」と単純に思いましたし、それを知った人たちが少額ずつ拠出して助けたことも「いい人がいっぱいいるね!」と思いました。友人も、ジェニファさんも、ノア君も、みんなハッピーでwinnwinの結果を生むなんてナイス!と思いました。それなのに日本のこのネガティブな反応・・・私はもうすぐ日本に帰国ですが、正直窮屈で、生きづらい空気が怖いです。少なくとも、寄付や文化の違いを理解しようともせずに他人の行動を「間違っている」などと断定、非難する・・・「人それぞれ違うね」というのが根底にあるアメリカで感じる楽さと対極にある窮屈さを感じたできことでした。